「生きがいが開花する介護」で最高の人生を提供したい~「株式会社木の恵」代表インタビュー(前編)

代表ブログ
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「生きがいが開花する介護」。

 

 

これは、千葉県のデイサービス施設を運営する

「株式会社木の恵(このえ)」の理念です。

 

 

今回は、代表の山下優奈(ゆうな)さんに、

「生きがいが開花する介護」誕生のきっかけや、

“木の恵”を通じて

介護業界全体をどのように変えていきたいかについて

お話を伺ってきました。

 

 

一緒に成長し合う場を目指すために生まれた理念

 

――”木の恵”で「生きがいが開花する介護」が

 理念となったきっかけについて教えてください。

 

 

「生きがいが開花する介護」とは、

表面的な介護サービスのことを言うのではなく、

 

利用者さま一人ひとりに寄り添い、

「する/される」介護ではなく

自発的に元気になっていただくための「本質的なもの」です。

 

そしてこの理念に基づき、

食事や水、空間にこだわったり、

一人ひとりが異なる活動を行ったりするなど、

他の介護施設ではあまり見られないような取組みを行っています。

(スタッフも一緒に楽しんでいます!)

”木の恵”はもともと母が立ち上げたもので

私が二代目となります。

 

 当初母が想い描いていた”木の恵”の理想は、

「元気になる介護」というイメージでした。

 

強い想いはありましたが

うまく言葉にはなっていませんでした。

 

逆にいうと、

ちゃんと言語化できていなかったにも関わらず、

スタッフはみんな

先代の想いを汲み取って働いてくれていたのです、

きちんとした理念教育がなくても。

 

素晴らしいと思いませんか?うちのスタッフ(笑)

 

そんな先代の想いをバージョンアップさせたものが

「生きがいが開花する介護」

です。

  

母が施設を運営していた頃から大切にしてきた価値観。

それを、私の想いとつなげて言語化しました。

 

そして、母や私の理想だけではなく、

母の想いを汲み取ってくれたスタッフの姿も踏まえて

明確な言葉に「見える化」した感じです。

 

     

私が”木の恵”を引き継いだとき、

目指したいものは

ただの「介護の現場」ではありませんでした。

 

一人ひとりに寄り添った介護を行うことを

基本としたうえで、

 

利用者さまとスタッフの間に隔たりのない、

皆で一緒に生きがいを見つけ成長し合う関係を

作っていきたいと思ったのです。

 

 

利用者さまにとっての”木の恵”は

人生を終えるための施設であって欲しくない。

 

「生きる活力が湧いてきた!」

って思ってもらえるような。

 

 

寝たきりだった状態から、

「もっと長く生きていきたい」

「もっとこれからの人生を楽しみたい」

そう思ってもらえるような。

 

 

「木の恵に通うために頑張りたい」

と利用者さまが思ってくださる。

 

そんな”木の恵”でありたかったのです。

 

 

それは

まさに【生きがい】といえる施設。

 

 

その原点となる想いから、

私たちの

「生きがいが開花する介護」

という言葉が生まれました。

(1人ひとりに寄り添いながら)

 

――お母さまの働き方について

  印象に残っていることはありますか?

 

そうですね…

母のことで印象に残っているのは、

その場しのぎの対症療法で

介護を終わらせなかったことですね。

 

これは私も大切にしていることなんですけれど。

 

母は、

「お客様に喜んでもらえているからいいや」

と上辺だけの介護サービスで終わらせるのではなく、

本当にその方が望まれていることはなんだろう?って

常に考えていました。

 

例えば、利用者さまが介護施設に入所する際に、

アセスメント…利用者さまの状態を把握するためのチェック表を

作成します。

 

通常ですと、施設に通うために必要な情報ですとか

身体の状態や健康状況について聞き取りをすると思います。

 

ですが、母はそれ以外にも、

利用者さまがどんな価値観を大切にしているのか、

人との関わり方をどのように捉えているのか、

これからどんな人生にしていきたいのか、など、

 

会話やコミュニケーションのなかで利用者さまのことをより深く把握し、

そこから一人ひとりに寄り添った介護を行っていました。

 

でも、これだけでは

聞き取る人によって

内容に偏りが出てしまう。

 

そこで、アセスメントを

細かく作成し、共通認識を持って

偏りがないように改善していきました。

 

 

――理念やアセスメントなど、お母さまが「想い」として持っていたものを

 山下さんが明確に「見える化」していったのですね。

 

そうですね。

 

母だけができる、

スタッフの誰かだけができるというのではなく、

 

全員が同じ思いで出来るように

見える化を意識していきました。

 

 

見える化といえば…

 

”木の恵”の施設では、利用者さま全員の

「生きがい開花」も見える化しています。

 

”木の恵”のシンボルである

「このえちゃん」のロゴを拡大したものを

利用者さまと作成し

そこにご利用者さまの

「生きがい開花」に向けたメッセージを

葉っぱ型のシートに書いて貼り付けています。

(このえちゃんの葉っぱの一つひとつが利用者さまの「生きがい開花」)

自分の生きがいに向けたことを

言葉にするってかなり難しいとは思うのですが、

言語化することで日常から意識して過ごすことができると思うのです。

 

スタッフも一人ひとりの利用者さまに

「生きがい開花」に対する目標を聞いたり、

一緒に考えたりすることで

同じ気持ちで一緒に実現していけることを目指しています。

 

作成する際に、

「今までの人生で何を
 大事にしていましたか?」

「この先の人生でより良くするために
 当施設ではどうしていきたいですか?」

と、お聞きすることもありますが、

細かく質問して定めすぎるのも違うと思っています。

 

あまり定めすぎないことで

利用者さま自身の言葉や表現を引き出せるように。

一人一人の「生きがい」の可能性が

広がっていくように。

 

 

「すごく幸せ」って想いながら人生を終えられる場所で在りたい

 

――改めて、「生きがいが開花する介護」とは

 どういったことを指すのか教えていただけますか?

 

はい。

…でも、一言で説明するのが難しいのですが(笑)

 

「生きがいが開花する介護」とは

表面的でなはい、本質からの介護のこと。

 

色々な観点があるのですが、

 

「自分の人生にこんな幸せがあったんだ」

と感じてもらえるような場所であり、存在であることだと思っています。

 

例えば神社に行ったときに、

清々しさと同時にどこか温かみがある安心感で満たされるような…

 

”木の恵”に来たことで、

自分の人生にこんなに温かい世界があったんだ!

って気付いていただけるような…

 

ちょっと極端かもしれませんが、

 

「自分の人生なんてこんなもんだ」

 

って、諦めてしまっている方に、

 

「世の中にはこんなに良いものや幸せな感覚があるんだ!」

「忘れていたけど自分の中にはこんな魅力があったんだ!」

 

って、今までの人生で得ることができなかった、

目の前がキラキラと輝く体験を

味わっていただける介護のことです。

 

究極的には、

「すごく幸せ」って想いながら、

何の後悔もなく人生を終えることができる、

そういう場所で在りたいと思ってます。

(一緒に笑い合えるのが幸せ!)

 

数年前に”木の恵”を利用された方のエピソードなのですが…

 

「私は今とても幸せ。私の人生でこんなにも温かくて幸せなことがあるなんて思ってもいなかった。本当にありがとう

 

と、泣きながら伝えて下さった方がいました。

 

利用者さまのことを思いながら作った食事であったり

新しく出会えたお仲間やスタッフとの関わり、

興味関心が深まり、世界が広がっていくような趣味活動など。

 

 

そういった木の恵では当たり前にあるような

何気ない日常に、

思わず泣いてしまうほど、感動してくださったのです。

(みんなで食べるこだわりのご飯!)

 

ちなみに、先ほどのエピソードの方なのですが…

 

私たちに泣きながら

「ありがとう」と伝えてくれた、

 

その数日後に、突然、お亡くなりになりました。

 

とても残念で悲しいことでしたが

ご家族さまから

「最期は幸せそうな顔だった」

と伺うことができ

 

少しでも「生きがいが開花する介護」を実現することができたかなと思える出来事でもあり

最期まで寄り添うことができて良かったと、

心から思えた出来事でした。

 

”木の恵”に来たすべての方に、

この方のような幸せやあたたかさを感じていただきながら、

”木の恵”での時間を過ごしていただきたいと思っています。

 

利用者さまと一緒にコミュニティを創りあげていく関係性を意識

 

――”木の恵”ではどういう思いをもって

 介護に取り組んでいるのですか?

 

お一人おひとりに合わせた介護を行うことを基本として、

 

お客さまとスタッフという関係ではなく、

「一緒にコミュニティを創りあげていく仲間であり第二の家族」

のような関係性を意識しています!

 

イベントの時など、利用者さまがアイディアを出してくださったり、

利用者さまがリードしてくださることもあります。

 

利用者さまとスタッフが一緒になって

みんなが盛り上がる企画を進めていけるように工夫しています。

(カラオケは毎日の定番です!)

 

こういう話をしていいのか分からないのですが、

新しいスタッフを採用するとき、

利用者さまが、率先して、

面接のチェックもしてくれることもあるのですよ!

 

「あの人、自分はいいと思うよ」

 

なんて声をかけてくれたり、

 

「こういうスタッフがいたら良いよね」

 

など、どうしたら”木の恵”がもっと良くなるのか、

人生経験からアドバイスをくださる利用者さまもいらっしゃいます。

 

受け身で「ただそこにいる」のではなく、

一緒に”木の恵”を育んでいくという関係性が

作れているのかなと思っています。

 

 

――利用者さまとの関係性を築くために

 工夫していることはありますか?

 

工夫というよりも、

 

一緒にコミュニティを創り上げる関係性を

ずっと築いてきた、という空気感が

一番大きいんじゃないかなと思います。

 

新たに”木の恵”に入ってきた利用者さんでもあっても、

 

「ここは、利用者とスタッフの関係性が素敵だな」

って感じられることが大事で、

それが一番の良い環境になると思っています。

 

あとは

コミュニケーションの取り方も意識していますね。

 

「(介護という)良いサービスを提供しよう」というよりは、

この利用者さまや関わるすべての人が幸せになるためにはどうすればいい?

 

という意識が、スタッフ一人ひとりにあること。

 

そういう意識で利用者さまと関わるから、

ちょっとした会話や活動、イベントでも

利用者さまの良さや個性が引き出されていくと思っています。

 

通常のデイサービスでは

全員同じ活動をする時間が多いところを

一人ひとりに合わせて異なるものを行っているのも、

利用者さまの個性を引き出して

「生きがい開花」を目指すため。

(個性が引き出される活動の時間)

 

一人ひとりに合わせるとなると、

材料や人手、環境など色々なものが必要になり

入職したてのスタッフの中には

「大変じゃないのか」と疑問に思う人もいます。

 

ですが、実際にやってみると、

利用者さま一人ひとりとの交流から

自分自身の成長が実感出来たり自己肯定感が高まるなど

スタッフ自身の働きがい・生きがいにも繋がっています。

 

そうすると、

さらに利用者さまに良くなってもらうには

どうすればいい?って

 

スタッフ同士で、

ポジティブな会話が増えていきますよね。

 

だから、施設全体が、

明るく、温かい空気に包まれていくと思っています。

 

ちなみに”木の恵”では

利用者さまとしっかりと関わることを大事にしたいので、

定員を少人数にしています。

 

そして、利用者さま一人に対するスタッフの配置も

最低限の人数ではなく多少ゆとりを持たせているので、

 

一人ひとりと、密な関わりができています。

 

また、コミュニケーションの取り方で言うと、

利用者さまとスタッフの間だけではなく、

スタッフ同士の連携も大事にしています。

 

複数ある店舗のどこへでもいける体制であったり

すべてのスタッフが連携して

一人ひとりの利用者さまをみています。

 

一部のスタッフしか

その利用者さまのことが分からなかったり、

利用者さまの情報の共有漏れがないよう、

 

スタッフ全員が、

利用者さま一人ひとりを把握しています。

 

スタッフそれぞれの視点により

利用者さまの新たな個性に気付くなど、

良い循環が生まれています。

 

これは担当制やユニット制では

できないことで

複数のグループ店舗があるメリットでもあると思うので

 

スタッフ同士で密に声を掛け合うことを

意識して行っています。

 

 

どう伝えたら「生きがいが開花する介護」の良さが伝わるか、現在進行形で挑戦中

 

――利用者さまと良好な関係性を築くことに対して

 課題に感じていることはありますか?

 

相性があるので仕方がないことなのですが、

私たちは”木の恵”の取組みが良いと思っているけれど、

なかなかピンとこない利用者さまもなかにはいらっしゃいます。

 

”木の恵”の取組みが合わず、

私たちスタッフや他の利用者さまと

深く関わることを望まず、

 

”木の恵”に来なくなってしまう方も

いないわけではないんです。

 

これは、どう伝えたら

「生きがいが開花する介護」の良さが伝わるか、

現在進行形で挑戦しているところです。

 

――深い関係性を望まない利用者さまには

 どのような対応をしているのですか?

 

”木の恵”が何を大事にしている施設なのか?

どうして食事や水や環境にこだわるのか?

その理由を丁寧に伝えています。

 

また、自分たちのこだわりや想いを

一方的に伝えるだけでなく、

 

その利用者さまが

大事にしていることや価値観を

必ず伺うようにしています。

 

入所時のアセスメントで聞き取っていますが、

改めてお話を伺います。

 

伺ったうえで、”木の恵”との共通点ですとか、

その人が課題だと思っていることが

”木の恵”に来ることでどう良くなっていくのか、

そんなことをお伝えしています。

 

――そのほか、課題に感じていることはありますか?

 

あとは…嬉しいことではあるのですが、

”木の恵”に来ると皆さん、元気になってしまって。

 

なかには介護が必要なくなってしまい

”木の恵”を卒業される利用者さまもいらっしゃいます(笑)

 

せっかくご縁があって来てくださったのに、

卒業されてしまうと少し寂しいですね(笑)

(お一人おひとりに合わせた介護を行うことが基本です!)

 

また、もう一つ特徴的なのがあって、

 

お客さんとスタッフではなく、

一緒にコミュニティを創りあげていく

仲間のような関係性だからこそ、

 

時には利用者さま同士が、自発的に、

「こうした方がいいと思う!」という、

話し合いが行われたりしています。

 

ぶつかり合うことがあっても

そういった話し合いが自然と起きるからこそ

利用者さま同士の関係が、より深くなっていくとも思っています。

 

色んな利用者さまがいらっしゃるなかで、

全員にとって、”木の恵”が良い環境に育っていくのか、

 

日々、試行錯誤しています。

 

他の介護施設では

利用者さま同士の会話も少ないところが

あったりするなかで、

 

”木の恵”ではそういった積極的な関係が築かれているのは

嬉しいことだと感じています!

 

ご利用者さまそれぞれのお話を丁寧に聴きながら、

より良い”木の恵”にしていくために日々、挑戦しています!

 

――ありがとうございました。

 次回は、”木の恵”の将来の展望や、

 ”木の恵”への採用を希望する方へのメッセージについて

 聞かせてください。

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